平成27年度の発掘調査
2016年03月31日


能登川石田遺跡は、自然河道を利用した環濠集落と考えられており、調査地でもその一部が見つかりました。調査範囲が狭いので、河の肩部分だけで、斜面になっています。なあ~んだ、という見た目ですが、こういった部分で、土器などの遺物が溜まっているのです。
今回の調査では、剣形銅製品が出土しました。鋳放しの状態とみられますが、双関に2つづつの穿孔があります。能登川石田遺跡では、青銅器製作の道具が出土していることから、銅鏃などの小規模な青銅器の生産があったと考えられています。

中腰で腰にきます・・・
遺跡の向い側は瓜生川を挟んで繖山(きぬがさやま)が見えています。ロケーションは古代からよかったでしょう



土坑の埋土からは、和鏡が出土しています。
和鏡は祭祀的な意味合いで廃棄されることもあり、この土坑の意味や遺跡の構造も注目されます。


現地では測量のための石垣の清掃や簡易な伐採がされ、見た目も見やすくなっています。

小さい調査区でも、新たな成果があります。埋蔵文化財センターでは今後も、こつこつと調査を続けます。
「瓦屋禅寺境内林」が文化庁「ふるさと文化財の森」に設定!
2016年03月22日

独立山塊である箕作山(標高約375m)は、箕作山、瓦屋寺山、太郎坊山、小脇山、岩戸山などの山頂部があり、瓦屋禅寺は瓦屋寺山の山頂付近に位置します。


文化庁長官より認定書が交付されました。
文化財の為に檜皮を採取することができるよう、管理されていきます。
雪野山古墳(5)
2016年03月11日



床面に木棺を据える粘土床があり、木棺の形を留めます。木棺自体はほとんど腐ってしまい残っていませんでしたが、破片からはコウヤマキという木であったと樹種同定がされています。木棺の長さは5.6mで、両側に半環状の突起があったとみられます。また内部は仕切り板により3つの区画に分けられていました。


被葬者の明らかな骨などは見つからず、腐ってなくなったものと考えられます。


古墳時代前期に有名な銅鏡は、被葬者の頭と足元を守り、石製品は頭部周辺など、配置にも特徴がありそうです。
雪野山古墳(4)
2016年03月04日

雪野山古墳は、全長70mの前方後円墳です。現在の山頂が後円部にあたり、後円部の真ん中に、亡くなった人を納める石室がつくられています。 竪穴式石室(たてあなしきせきしつ)は、一人の被葬者のためにつくられた1回限りのお墓で、相当な労力のかかったものです。



竪穴式石室の大きさは長さ約6.1m、幅は1.35~1.5m、高さは約1.4~1.6m

石材は、山中で産出される湖東流紋岩で、比較的平らな割石が使用されています。壁面の石の並びに注目すると、積み方、その単位が見えてきませんか・・・。 並び方からは、中位で一旦構築を止め、赤色顔料を塗布する祭祀が行われるなどの造作があったと考えられています。積み上げ方は、比較的垂直です。石室の構築には合掌型や持ち送りなどと言われる、上にすぼまる特徴を持つものもありますが、雪野山古墳では比較的垂直なのが特徴で、在地的とされます。

断面模式図です。竪穴式石室は、まず大きな方形の穴を掘り、木棺を置くための粘土床をつくります。次に裏込めの土を入れながら割石を積み上げ、石室を構築します。どこかの段階で被葬者を埋葬し、副葬品を納め、最後に天井石、被覆粘土を施します。

しかし

発掘調査時に原寸型取りの石室レプリカが作成されており、展示などで見ることができます。
現在は展示されていませんので、公開の際には市HP、本ブログでお知らせしますね
