相谷熊原遺跡の土偶レプリカを作成しました

2016年06月30日

iconN28永源寺相谷町に所在する相谷熊原遺跡から出土した、国内最古級の土偶レプリカを作成しましたiconN04

point_4土偶の大きさは、最大高さ3.1cm、最大幅2.7cm、重量14.6gと、とてもかわいらしい土偶iconN08同じ遺構(竪穴建物跡)から出土した土器の放射性炭素年代測定により、およそ13,000年前のものと推測されています。
 
 

point_4実物資料は滋賀県が所有し、平成27年12月18日に県指定有形文化財(考古資料)となっています。この貴重な文化財を、出土した東近江市で知っていただくため、滋賀県教育委員会、滋賀県埋蔵文化財センターの協力を得て、株式会社吉田生物研究所に委託して、レプリカを作成しました。

型作りの様子
point_4レプリカは、実物から型取りさせていただきました。写真は、型造りの様子です。

土偶レプリカ下地
point_4型から作成したばかりのレプリカの姿。エポキシ樹脂で作られています。ここから、型では取れない細かな凹凸を、実物を見ながら補刻したり、合わせ目を消す作業を行います。

土偶レプリカ彩色
point_4次は彩色。これも実物と見比べながら色を合わせ、砂粒などを転写します。

レプリカサイン
point_4もはやパッと見ただけでは、どれが本物なのかわからなくなってきましたkao11そのため、底部にレプリカの「R」の文字をふんわりと入れましたiconN27

point_4精密レプリカと同時に、触れるレプリカも作成していますicon23埋蔵文化財センターなどでの体験学習や展示で随時お披露目していきますので、お楽しみにicon01

  

Posted by 東近江市埋蔵文化財センター at 17:10縄文展示体験講座

中沢・斗西遺跡(佐野町)の発掘調査

2016年06月24日

point_4現在、埋蔵文化財センターでは中沢遺跡の発掘調査を行っていますかたつむり

point_4愛知川左岸の自然堤防上に位置する中沢遺跡は、隣接する斗西(とのにし)遺跡とあわせて、遺跡の面積は約19万㎡、古墳時代を中心とした集落遺跡です。見つかった竪穴建物跡は千棟以上、掘立柱建物跡は3百棟に及びます。
 微高地の周囲には、現在は埋没して見ることのできない旧河道が発掘調査され、堰と簗跡、丸木舟の一部が見つかっています。水の確保、漁労、水運など地の利に恵まれた場所であったことがわかっています水泳

point_4古墳時代前期には、外来系土器と呼ばれる、畿内、山陰、北陸、東海、吉備、讃岐など各地の土器が、集落遺跡で出土することが多く、中沢・斗西遺跡でも見つかっています。各地との交流の中で集落の生活があったことがうかがえますicon24

 
point_4遺跡のうち、約7万㎡が発掘調査されていますが、飛び抜けて大きかったり、区画された建物などは見つかっていません。
しかし、古墳時代に入る周溝墓跡が見つかっているほか、南東に位置する神郷亀塚古墳の被葬者の本拠地と目されており、集団の構造はまだまだ解明されていません。
 また、古墳時代後期には、繖山(きぬがさやま)に山面古墳群などの横穴式石室を持つ群集墳が築かれます。

point_4遺跡の北側には3重から5重といわれる塔心礎が残る法堂寺廃寺があり、白鳳寺院が建立されるなど、長く一帯の拠点的な集落であったと考えられています。
 『東近江市史 能登川の歴史』第一巻に、説明がありますのでご参考にされてくださいiconN04

 中沢遺跡25次調査
point_4発掘調査の様子(竪穴建物跡)icon01  

Posted by 東近江市埋蔵文化財センター at 09:00発掘